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【終了】邦久庵  茅葺き屋根を学ぶ会

​邦久庵サロントークVOL.2

Talk Session with Thatcher-man in 12th Oct, 2019

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令和元年10月12日、「邦久庵 茅葺き屋根を学ぶ会」を開催しました。大分の日田より、邦久庵の屋根を19年前に葺いた奥日田美建・三苫義久棟梁をお招きして。台風19号の影響で大風吹き荒れる中でしたが、3時間ほどじっくりと、30人の参加者が邦久庵での時間を共にしました。

 

『超高層から茅葺きへ』という池田武邦さんの著書もあるように、邦久庵のシンボルとも言える茅葺き屋根。どのようなこだわりが詰まった屋根なのか、その改修の必要性、今後の葺替えに向けて何ができるのか、そもそもどのように葺かれたのか。邦久庵倶楽部のスタッフやボランティアの皆さんももちろん、長崎・佐賀・福岡・東京、そして3月からオーナーになった英国人のジョナサン氏も通訳を介して(こちらもボランティアしてくださる方が!)熱心に耳を傾けました。

 

12時には皆様時間通りお集まりくださり、地元の女性陣がご用意くださったお食事をいただきながら、まずは建物の簡単なご紹介。そしてなんと、邦久庵の模型を作って持ってきてくださった方がいらっしゃり、その模型を眺めながら池田武邦さんの思想や材料に対する考え方を全員で共有。また、オーナーのジョナサン氏から、今後この場所を守り継いでいくための決意表明もお話いただきました。食事がひと段落したところで、いよいよ棟梁にお話を伺っていく段取りとなりました。

 

まずは何より、現状の屋根のチェックから。南側を裏山に寄り添って建つ邦久庵。まずは南面からということで、棟梁は今や御歳82歳ということですが、身軽に裏山を険しいところから駆け上がり、南側の屋根面を具に目視にて点検。俯瞰してみると屋根面全体が緩やかに波打ちながら緩やかに朽ち減っていっている様子がよくわかります。木立をしっかり剪定していく必要性も。参加者の皆さんは、いきなりの山登りになりましたが、多くの方が同じ角度から眺めようと、頑張って登ってくださいました。

 

続いて、玄関のある北面からも。軒先に顔を覗かせる”さす組み”や垂木について教えていただくと、全体がどのような仕組みで葺かれているのかが、なんとなくわかってきます。頂部の棟木「置き千木」は邦久庵独特のデザインということもあり、参加者の皆様から質問が集中。水切り、重し、美観の3つの理由で設けられていることや、丁寧な仕事で強度を支えるための金属パイプが巧みに隠されていることなども教えていただきました。

 

風もさらに強くなってきたところで、広間に戻ってゆったりとトークセッションへ。佐世保のボランティアの方が、表千家流で立てていただいたお茶をいただくと、穏やかかつ緊張感もある午後の時間が流れはじめます。池田武邦さんと奥日田美建さんはどのようにして繋がったのかというところから、茅をどこからどのようにして運搬したのか、邦久庵の屋根はどのような工法なのか。社名に「美建」とつく由来とは、いかに美しく屋根を見せるか、そのために棟木のかたち、継ぎ方といった部分のこだわりこそ、この仕事を長く続け、茅葺き屋根を長く伝承していくための心の拠り所なのだということ。ひとつひとつの内容はここには書ききれず、また改めて皆さんと共有する方法を何かしら持ちたいと思います。

 

最後に、今後に向けて。棟梁が邦久庵の屋根を見た結論としては、まずは「差茅」といって茅を追加で打ち込む補修が早急に必要だということ。長持ちさせるために望ましい時期からはすでに3,4年が過ぎているが、まだ間に合う。そして、材が弱ってきている頂部の「置き千木」も合わせて組み替えた方がいいとのこと。できれば来年の梅雨前にやるのが望ましい。そうすれば、補修後また10年くらいは葺き替えまで持たせられる、ということでした。ジョナサン氏も深く頷いて、今後その資金をなんとか捻出していけるよう、早急に考えていくことになりました。そしてその折には、是非ともワークショップ形式で、見学・お手伝い・部分的な施工なども大歓迎であることで、三苫棟梁やその御弟子さん、ジョナサン氏も理解してくださいました。

 

法人としての邦久庵倶楽部の活動も2年半となったところで、ついに大物の改修が具体的に動きはじめそうなことを、一同心より喜んでおり、またこれまで応援してくださっているみなさまに深謝しつつ、またこれをしっかりと遂行していくべく気を引き締め直しているところです。みなさまの篤いご支援を何卒よろしくお願い致します。

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